組織能力向上・人材育成戦略
中小零細企業が陥る制度構築の難しさ
2012/08/08
企業の組織活動を効果的かつ効率的に運用支援するためには、各種制度が必要なのはいうまでもありません。
では、どのようなスタイルの仕組みが自社にとって一番ベストなのかを熟考して導入しているかというと、形式的な制度やひな形的な制度を安易に活用している企業も少なくありません。
特に、中小零細企業で冒しがちな事例として、マーケットや人事・組織の専門業界で旬(はやり)の制度や大企業で運用中の制度がベストであると思い、同じ仕組みを取り入れて、結果的に失敗(機能しない)する場合です。
数十名~数百名規模の組織が、何千~何万名の組織規模の制度のひな型を利用しても大抵の場合、運用上無理が生じてきます。
どんなに流行りで効果的であると謳われている制度でも、組織規模でその機能は上下します。
よくネットや書店などで入手できる制度情報は、例え中小企業向けであっても、その制度構造は大手企業の事例の写しである場合が少なくないのです。
また、その種の仕組みは、その運用を手掛ける人事部や各部の優秀な管理職の存在があって初めて効果をあげているのです。
中小零細企業の場合は、専門部署としての人事部の設置が無かったり、各部の部門責任者が運用できるだけの業務上の余力が無かったりする事が一般的です。
つまり、制度や仕組みは運用する側の条件や能力も問われるのです。
そこを理解しないので、自社の運用レベルや能力を無視して、制度が悪いと制度側の問題にしてしまうのが常です。
また、制度の構築を手掛けると、どうしてもより良いものを目指して作業を行いますので、結果最終的には複雑怪奇な制度が出来上がってしまう場合もあります。
制度の本来の目的を、見失ってしまいただのお飾り的なものとなっている企業をよくみます。
自社に合わなければ、それを経験として自社仕様を再度構築すればいいのですが、手間暇かけて作り上げた制度を後生大事にしている会社もまたよく見かけます。
制度は、あくまでも仕組みであり道具です。
道具は、使い勝手のいいものを使うべきであり、自社に現状にあわなければ都度、道具を変えていけばいいのです。
要は、自社の使い勝手の良さを最初にどう捉えるかが大事なのです。
執筆担当:有限会社HRエージェント