フリースクール「えすぺらんさ」 小田 哲也

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とても明るく元気な印象の小田さんですが、幼少のころは?また、これまでの簡単な略歴を教えてください。

福岡県福岡市の生まれです。小児喘息を持つ体力的に弱い子どもでした。兄弟・親戚女性ばかりで、女っぽい仕草をしていましたね(笑)・・・。小学校からミニバスケットを始め、少しずつ体力がつきました。大学卒業後、市内の私立学校の教諭となり、有意義な7年間を国内外で送ったのですが、子どもたちの自主性を育むことができなかった自分の力のなさを感じ、教員を辞めることを決意。そして、青年海外協力隊に参加することを決意し、南米コロンビアの少年院に3年間派遣されました。国際協力の必要性と、途上国の人の温かさに惹かれ、その後、4年間、中米・カリブ地域でJICA専門家として勤務しました。しかしながら、やはり、子どもが好きなのか?「子どもがいる現場に戻りたい」と、国際協力の第一線から退き、日本国内で、学校に行かない選択をした子どもたちの居場所を、かつての私立高校の同僚で先輩教諭と立ち上げて今に至ります。
いろいろな経験が弱かった私でしたが、そんな一連の経験で今のようなワイルド系(?)になりました。

フリースクール「えすぺらんさ」の概要についてお聞かせください。

箱崎自由学舎ESPERANZA。ESPERANZAはスペイン語で「夢」や「希望」の意味です。夢や希望を持ちにくくなった時代だからこそ、私たち大人がより元気に夢や希望を語り、子どもたちが萎縮しない社会を作るべきだと命名しました。対象は、学校に行かない選択をした中学生・高校生(年齢は12歳~25歳くらい)とその保護者。活動は、マンツーマンに近い形の学習活動を中心に、机上の学習では身につかない、人間性や社会性などを身につけるための、体験活動、野外活動などを積極的に取り入れ、最低月に一回は何らかの活動をとりいれています。
保護者対象には、月一回開催している「子育てについて語る井戸端会議」、年2回開催の「子育てについて考える座談会」や日常の教育相談など無料で開催することにより、悩みを抱える保護者の心を穏やかにする支援を行っています。

不登校の子供を対象とする、いわゆるフリースクールという形を選ばれた理由とは?

学校の教員を辞めたころには、同僚と、学校に行っている子どもたちを宿泊させながら、学校に通わせることで自主性をつけてもらうといいな~と話していたものの、37歳で帰国したときには、不登校・引きこもりというのが大きな社会問題となり、ここに焦点を当てた活動ができないか考え、フリースクール開校を考えました。しかしながら、そのノウハウがない私たち一教員・・・。いろいろと調べてもらうと、フリースクール経営は難しく、閉めざるをえないところが多いと聞きました。私が開校を考えている時に、閉校になるフリースクールのお話を聞きつけたため、そこで働かれていた女性教員2名と話をさせて頂き、「安月給だけど一緒にいかがですか?」と打診をすると、「いいですよ。」ということで、ノウハウを持つ2名の女性教員と一緒に開校できることになったんです。
設立当初、学舎という箱物がなく、福岡市の青年センターを使わせていただき活動をしていました。しかし、その当時、空き家になっていた築50年以上経っている古い一軒家を父が所有し、遊んでいたので、これを改築し、われらの居場所ESPERANZAとして今に至ります。

色々と、運命的な出会いがタイミングが重なっての今の形があるのですね!例えばどのようなカリキュラムが用意されているのですか?また、資格取得などもできるのですか?

カリキュラムは、各人の進度にあった進め方です。基本、彼らが在籍する学校の授業に準じます。毎日朝10時から50分授業の午前中2時間、12時過ぎに皆で昼食をとって休憩し、午後1時半から50分授業を3時間~4時間。中には自習も入っていますが、授業はマンツーマンもしくは、先生1名に生徒2名での授業。高校生は通信制高校のレポートや課題学習をこなしながら、毎日17時半まで学舎にいる感じです。
資格取得に関しては、通信制高校に通いながら、高等学校卒業程度認定試験での資格取得の勉強をしたり、英語検定、漢字検定の資格取得の勉強を一緒にすることは可能です。過去には自分でカラーコーディネーターの資格取得のための勉強をしていた生徒もいましたよ。

一般的な教養科目だけでなく、様々な体験活動も沢山盛り込まれているようですね!?

はい。基礎的な学力をつけるのは自信をつけるためには欠かせないことですが、それ以上に様々な体験活動を経験することにより、自分自身の発見、他人との関わり方を学ぶなどなど、机上の学習では得られない、より多くのことを学ぶことが期待されます。よって、子どもたちが企画する歓迎遠足、子どもたちが考える楽しいランチクッキング、イチゴ狩り、自然農でのお米作り、キャンプ、陶芸体験、ボランティア活動参加などなど、多くの活動を導入しています。

ホームページも拝見しましたが、先生やスタッフさん達は個性的な方がお揃いですね!?

えっ! いたって普通と考えているんですが・・・。
この普通が、面倒ですがね・・・?? 柔軟な考え方が必要と考える私たち。何が許されないことか(例えば、他人を敢えて傷つけようとする行為など)、何がオッケイなことか(失敗する、間違うことなど)、だけを共通の認識を持ち、あとは皆、子どもたちのために動く。時には厳しく、時には甘く?? いろいろな個性を持った教員が集まっているから、子どもたちも逃げ場があると考える。子どもたちはいろんな考えを持った大人たちと関わる必要があると考えています。

生徒さんと向き合うにあたって心がけていることは?

んー、いたって普通(笑)。
別に気を張らずに、思ったことは思ったとおりに表現し、当たり前にやっていくことかな??
まじめで、がんばりすぎる子どもたちが多いので、「完璧なことがいい」とか、そんなことは伝えずに、「間違えがあってもやっていけてる。」「失敗したって大丈夫」ということを伝えたいです。

生徒さんとの思い出深いエピソードがあれば教えてください。

本当にいろいろありますが、畑作業をしていた昔、野菜を収穫したら、「この野菜、学校に持っていく!」と翌日学校にもって行き、どんどん自信を取り戻し、学校に戻った中学生がいました。現在でも、年に2~3回は学舎に遊びに来てくれるし、キャンプのボランティアとして関わってくれています。今は、しっかりと介護の仕事をしている彼です。子どもたちは自信をつけると何でもできるようになるんだと実感した出来事でした。

入校を考えている中高生やその親御さんへのメッセージをお願いします。

学校に行かないで、心底オッケイな方は問題ないとおもいます。ただ、このままではいけない、何かアクションを・・・と悩んでいる方がいらっしゃったとしたら、動き出せる場をつくられるといいかな?と思います。それが塾でもいい、運動クラブでもいい、社会との関わりを持てるところが見つかるとそれは幸せでしょう。きっと子どもたちは、「学校に行かない」とは決断したものの、「どこかに行かなくては・・・。このままでいいのかな?」と不安に思っていることが多いのではないかと思います。その不安を埋められるところがあるとそれだけで安心を感じ、自信を持つ活動につながっていくと思います。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

今の学舎のようなところが、福岡市内の至る所にできて、多くの悩みを抱える子どもたちの居場所になることが夢。そのためには、えすぺらんさ自体が、しっかりとした教育施設として認められるように、日々研鑽しながら子どもたちの笑顔を見守っていくこと。
今は、志が高く、ボランティア意識の高い教員により運営を支援してもらっているえすぺらんさですが、世代交代と今後の展開を考慮に入れると、しっかりと若者が働き、生活できるための賃金の保障が急務です。そこが当NPO法人の弱いところ・・・。この分野を克服し、えすぺらんさが、永代、多くの方の居場所になれるようにがんばります!

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